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2019年2月20日 (水)

人生を変えた言葉

 【人生を変えた言葉】
大学卒業後、「天職」と思えた中学校の体育教師になりましたが、
2002年3月1日、彼の人生を大きく変える事故が起こってしまうのです。

スキーでの転倒で「首の骨」を折り、奇跡的に命は取り止めたものの、
首から下がまったく動かない状態になったのです。

その後、妻、両親、主治医、看護師、生徒たち、
職場の同僚などの応援と励ましを受け、奇跡的な回復力を発揮します。
その体験を踏まえた「命の授業」の中で語ったエピソードです。
彼はどのようにつらい体験を乗り越えたのか、
彼には忘れられない一言があったのです。
・・・・・・・・・・・・
実は怪我をするまで、僕は競争が大好きな人間でした。
「常勝」が信条で、人に負けない生き方をずっと貫いていたんです。
だから「助けて」なんて言葉は口が裂けても言えない性分でした。
それが怪我ですべて人の手を借りなければならなくなりました。
僕が一番したくない生き方でした。

苦しいし、泣きわめきたいし、
「助けてっ!」って言葉が口元まで出かかってくるけど、プライドが邪魔してそれを言わせない。
ここで弱音を吐いたら、家族に余計に心配をかけてしまうと思うと、なおさら言えませんでした。
皆に迷惑をかけた分、なんとかしたいって気持ちでいたんですが、
そのプレッシャーや苦しさに押し潰されそうになってしまって・・・
僕はとうとう舌を噛んだんです。

自分の未来に絶望感でいっぱいでした。
本当は死にたくなんてなかったんです。
でも首から下の動かない人生、
生き方が分からず苦しかったんです。
だけど結局、死に切れなかった。
あとには生きるという選択肢しかなくなりました。
じゃあ明日から前向きに生きられるかといったら、それは無理です。
自分を押し包む苦しさがなくなったわけではありませんからね。

次にしたことは将来を手放すことでした。
自分の将来に期待するから苦しむ。
だったらその将来を手放してしまえばいい。
周りに何を言われても無反応になりました。

そんなある晩、苦しくて寝つけないでいると、看護師さんが声をかけてくれました。
「越塚さん、寝ないと体がもちませんよ。睡眠剤が必要だったら言ってね」って。
その言葉に僕の心が反応しちゃったんです。

おまえに俺の気持ちが分かってたまるかって、無意識に彼女をグッと睨みつけていました。
その看護師さんは素敵な方でね、僕の様子にハッと気づいてすぐに言ってくれたんです。
「越塚さんごめんね。私、越塚さんの気持ちを何も考えずに、ただ自分の思ったことを言ってたよね。
でも越塚さんには本当に少しでもよくなってもらいたいと思っているから……、
なんでもいいから言ってほしいです。お願いだから何かさせてください」

看護師さん、泣きながらそう言ってくれたんです。
彼女が去った後、涙がブワッと溢れてきました。
あぁ、この人俺の気持ちを分かろうとしてくれてる。
この人にだったら俺、「助けて」って言えるかもしれないって思えたんです。

それまで僕は周りからずっと「頑張れ」って励まされていました。
僕のことを思って言ってくれているのが分かるから
決して言えなかったけど、心の中は張り裂けそうでした。
俺、もう十分頑張っているんだよ・・・
これ以上頑張れないんだよって・・・・
だから救われたんです。

あの時以来、凄く思うんです。
人の放つ一言が、人生をどうにでも変えてしまうんだなって。
だから自分は言葉を丁寧に使おう。
言葉をちゃんと選んで、丁寧に使おうって。

越塚勇人(こしづかはやと)1965年、神奈川県生まれ。
元・中学校体育教師。元・養護学校教師。
参照:『致知』2013年3月号 特集「生き方」より
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相手のことを想ってかけたつもりが逆に傷つけてしまったり、
言葉が足らなくて、うまく伝わらないことって、ありますよね。
だからこそ、一言一言、考えながら発することが大切なんですね。





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