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2017年12月22日 (金)

ときには「我」も必要

 【ときには「我」も必要】 精神科医、斎藤茂太さん
「人の集まり」の中で活動するときは、「我」は捨てたほうがいいもののひとつだろう。
いつも「我」を出していると、「自分勝手」「傍若無人」「わがまま」などの、
ありがたくない評価をちょうだいし、ケンカの火種となりやすい。
たくさんの人たちの中でうまくやっていこうと思ったら、人と折り合ってゆく努力をしなければならない。
ただし、「我」は捨てたほうがいいけれど、完全に捨て去ってはいけない、とひと言つけ加えておこう。

「過剰適応」という言葉がある。
我を捨てて、周囲に自分を合わせようとがんばり過ぎた結果、
心身の健康に支障をきたすようになる…心の病のひとつだ。
人と一緒にいるときは元気にふるまっているが、ひとりになるとどっと疲れ、不安感につきまとわれ、
わけもなくイライラして、ひどくなると夜眠れなくなり、
頭痛や動悸がおこり、息苦しくなり…ひと口でいえば、自律神経の働きに問題が生じてくるのだ。
とくに日本人は、この過剰適応を起こす傾向が強いようだ。
それは日本が前にならえ、横にならえの社会であることが大いに関与していると思う。

ちなみに過剰適応を起こしやすい性格的な特徴は、次のようなものだ。
「人に好かれたい、いい人でありたい、という気持ちが強い」
「人の言葉や流行、マスコミなどに影響を受けやすい」
「がんばり屋さんで、神経質」
「リラックスして人と接することができない。緊張する」
「趣味がない。自分ならではの世界や楽しみがない」

もちろん人とうまくつき合い、世の中と上手に折り合うことは大切だ。
しかし、心のどこかに「私は私よ、みんなが私と違う考えを持っていたとしても知ったことじゃない。
ほっといてよ」という心境を持たなければならない。
これを口に出して表明せよ、というのではない。
そういう「我」は、心の中に納めたまま、大切にしてほしい。
刃を鞘(さや)に納めるように、である。
  『「捨てる」「思い切る」で人生がラクになる』 新講社ワイド新書

『ピカソは、「オレの絵をどう思う?」などとは聞かなかった。
「オレの絵をどう思うかは、おまえの勝手だ」と言っていたという』(同書より)

我々はつい、人の評価や評判を気にし、ちょっと批判されたくらいで、クシュンとなってしまいがちだ。
いい人でいたい、という思いが強いからだ。
しかしながら、全ての人に好かれることなど絶対にできない。
普通は、5割の人に好かれれば、5割の人には好かれない。
どんなに人格者であろうと、批判者は常にいる。
ときには「我」も必要だ。



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